課長の独占欲が強すぎです。
「きっと……たくさんの読者が有栖川さんの作品を待っています。昔の私みたいに胸をときめかせて『レジーナ』で素敵な恋が読みたいって。だから……そんな女の子達の夢を奪わないで欲しいんです。和泉さん、有栖川さんの側に居てあげて下さい。和泉さんが担当する事で彼女が良い作品を書けるなら、きっとそれが1番いいんです」
込み上げてくる苦しい想いを抑え込んで言い切る。辛いけど、本当に悲しいけど、それが1番の選択だと思うから。
けれど、和泉さんは不機嫌を露にした低い声で言い返す。
「お前は本気でそんな事を思ってるのか」
その科白は私の本心は違うんじゃないかと見抜いているようで、せっかくの決意が揺らぎそうになった。
「本当です……! ひまわり出版にとっても、有栖川さんにとっても、和泉さんにとっても、きっとそれがいいに決まってます! 例え……例え和泉さんが、私から離れる事になろうと……も……」
駄目だ、泣きたくなかったのに。
ついに私はこらえきれず両目からぼろぼろと涙を零してしまう。必死に拭っても涙は溢れてくるばかりで、言葉がもう紡げない。
和泉さんはそんな私を黙って見ていたけど、やがて一歩近付いて呼びかけた。