課長の独占欲が強すぎです。
「小夏」
地鳴りかと思うようなものすごく低い声。不機嫌オーラ全開の声に、久々に恐いと思う。
「お前は俺を怒らせたいのか」
「ひぃっ!」
私を真上から見下ろす顔には影が落ちていて、これまた久々に彼をヒグマと見紛うような迫力を感じた。
「ち、ち、ち、違います! 私はみんなの幸せを思って……」
「舐めるな」
鋭い目に眼力全開で睨まれると、私の足はブルブルと震え出す。押し潰されそうなオーラに、脂汗が滲んできた。
も、もう駄目! おっかない!!
「お、怒らないで下さいよ! 私だって辛いんです! 和泉さんの馬鹿!!」
追い詰められた私は非力ながら和泉さんの巨躯を押しやると、その隙に彼の元から逃げ出す。
「小夏! 待て!」
「来ないで下さい!!」
伸ばしてきた和泉さんの手を振りきり駆け出そうとしたした瞬間——
「あっ……!」
私は階段を踏み外し、バランスを大きく崩した。