課長の独占欲が強すぎです。

 ……有言実行。確かに和泉さんはそうだ。言葉足らずなところはあるけれど、だからこそ重みが違う。

「さっきだってそうだろう。俺はお前に以前『絶対に守ってやる』と誓った。だからそれを実行した。それだけの事だ。お前を守るためなら階段の百段くらい何度でも落ちる覚悟をして言ったんだからな」

 百段はいくらなんでも死ぬだろうと思ったけれど、頑丈な肉体と強固な覚悟がある和泉さんなら平気な気がしてくるから不思議だ。

「何度頼まれようが編集長に土下座されようがお前が勝手に泣こうが、俺は編集部には戻らない。正式な評価と辞令が下されるまで営業課課長を全うする。それから、お前が何を企んで決意しようが俺はお前から離れない。分かったな」

 真摯そのものの言葉で紡がれた話に、私は自分のした事を恥じて反省した。

 人生を賭けるほどの決意をしていた和泉さんに向かって、私はなんて馬鹿な事を言ったんだろう。

 そして……こんなにも愛されていた事に、私の胸が熱く昂ぶっていく。

 感激で泣きたくて、このまま和泉さんの胸に飛び込みたい。

 けれど——

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