課長の独占欲が強すぎです。
どこまでもキッパリと言い切った和泉さんの言葉は、有栖川さんの表情を変えた。
今にも泣き出しそうだった顔は、どうしたらいいか分からない複雑な色を浮かべた後、最後に少し困ったように笑みを浮かべる。
「……ありがとう、宍尾さん。私、また貴方に甘えすぎる所だったみたい。傷つけた事をあんなに後悔したのに……また同じ過ちを繰り返す所だった。気付かせてくれてありがとう」
透き通るような声で言ってから、有栖川さんは私の方を見やり切なげに目を細める。
「私も宍尾さんに『おまえ』って呼ばれて可愛がられる女になりたかったな」
それはきっと、有栖川さんが恋心にけじめをつけた一言だと、私は感じた。
安心すると共に、胸の奥と絆創膏を貼られた傷が少しだけチクリと痛んだ。