公園であいましょう
てっきり、私のアパートまで送ってくれると思ったのに
タクシーにのって連れて行かれたのは
あの小さな公園だった。
二人で入った夜の公園は、あの時と同じで
木々や遊具の影が地面に広がっているだけで、さびしげだった
でも、以前とちがって、気持ちが落ち込まないのは
つないだ手の先に佐倉くんがいるから。
手を引かれて、二人でベンチに座ると、佐倉くんが
ポツリと言った。
「郁、いろいろごめん、それでありがとう。」
「そんな、私は何もしてないよ。」
「そんなことない。撮影の時、俺、プレッシャー
かかってたんだ。
着物を着こなせないって言われた言葉が引っかかってて。
でも、郁が相手役をしてくれて、俺、役にすっと入っていけた。
郁の着物姿、めちゃくちゃ綺麗で、似合ってて、、、
俺、引き込まれていったんだ。
写真の出来の良かったのは、郁のおかげだよ。」
「佐倉くん、、、。」
うれしい言葉だった。
「その時、思ったんだ。いつか郁を撮ってみたいって。
それで俺、写真の勉強しようかと思ってる。
もともと写真に興味あったし、それに、今回のことで
モデルの仕事をずっと続けることに疑問を感じたんだ。」
「うん。」
「モデルをしながらの勉強だから、時間もかかるし、
本当にモノになるかわからないけど、でも
いつか俺のモデルになってほしい。」
「うん。」
うれしさで、胸がつまって”うん”としか言えない。