公園であいましょう

   「あと、さ、、。」



 佐倉くんが、照れたような顔になって、
 繋いでいた手をはなすと



   「もうひとつ、お願いがあって、、、。」



 といいながら、立ち上がった。



   「今日は、このまま帰したくない。

    俺のマンションに来てくれるなら、
    一緒に公園をでてて左に曲がって歩いていこう。
    もし、だめなら右に曲がって。
    アパートまで送っていくから。」

   「えっ。」


 私はぽかんとして、佐倉くんを見上げた。

 佐倉くんはちらっとこちらを見たが、すぐ目をそらしてしまう。


 突然、とくん、とくん、と心臓の音がはっきりと
 聞こえるようになった。

 とくん、とくん、、

 ”さぁ”と佐倉くんに促されて、私はたちあがる。

 
 横を歩く佐倉くんの気配も、かすかに聞こえる表通りの
 ざわめきも、すべてが消え失せて、何かをカウントするみたいに
 自分の心臓の音だけが聞こえる。


  (こんな、こんな不意打ちって、ひどいよ佐倉くん)


 そう思いながらも、足は前に進んでいき、
 公園の門はもう、目の前だ。
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