【好きだから別れて】
――本当にコイツ何?しつこい!


真也から届いたメールに綴られた文字は「どうしてそうなるの?」な内容。


『好きなんだけどつきあわない?』だった。


「はっ!?」


あたしの機嫌が悪いなんて知らず、真也は告白のタイミングはここだって感じによこしてきたメール。


残念ながら、おもいっきりご機嫌斜めも斜めだ。


タイミングをはずしまくったアホな真也が悪い。


あたしは怒りをぶつけ、絵文字のない短文でメールを返した。


『前の彼氏忘れらんねんだわ』


なのに人の答えなどどうでもいいらしい。


へこたれると思いきや即、数秒で真也のメールが届いた。


『忘れさせる』


何馬鹿な事を言ってるんだ。


忘れらんねぇから…おまえなんかにわかんねんだ!


それなのに何度も真也の攻めのメールは続く。


『好きだ』


『ムリ』


『元カレ絶対忘れさせる』


『男いらねぇし』


『付き合ってください』


『あたしがムリ。やめとけ』


『幸せにするから』


――あぁっ!めんどくせぇ。つきあえばいいんだろ!つきあうのなんか簡単なんだから!


返せばヘリクツの付き合って。


付き合うって言わなきゃ終わらないメールのやり取り。


正直、面倒くさかったし、もうどうでもよくなってた。


形を求めるならそれくらいしてやる。


でも、頃合いを見てこんな面倒くせぇ男ふってやる。


あたしは悠希を忘れていないのに無責任なメールを送り返した。


『忘れさせてな』


本当はダメなんだって自分が一番知ってる。


同じ事を繰り返してはいけないんだと。


以前の自分に戻ってはいけないんだと。


しかし、所詮ダメ女は寂しさになんか勝てないんだ。


捨てられたあたしを物好きが拾ってくれたから。


だからちょっとだけ時間をあげる…


上から目線であたしは真也を馬鹿にし、お情けで付き合ったんだ。
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