take it easy
「でも、それって噂ですよね?」

「え? まぁ……そうだけど」

 先輩たちは溜め息をついて、両手を上げる。

「解った。解ったわよ。ヤメロなんて、もう言わないから」

「……ですか?」

「応援もしないわよ。見守ってあげる」

「あら、私は応援するわよ~。逐一報告してね」

 楽しそうに言う先輩たちを眺めて思った。


 きっとコレは、賭の対象になりそうだと。


 でも、それはそれで心強い。

 最低限、先輩たちは古瀬さんの事が〝対象外〟だと決めているみたいだから。


「……どうやって告白しましょう」

「えぇ!? もう告白するつもりでいるの?」

「ちょっと早いんじゃないの?」

「でも、このままでいても、私って古瀬さんから見たら〝ただの後輩〟ですよね?」

 先輩たちは、思いきり訳知り顔で首を振る。


「甘いわ、深雪ちゃん」


「そうよ深雪ちゃん。古瀬からすると貴女は…」


『ただの〝使えない後輩〟よ』


 声を揃えて言われた。


「…………」


 やっぱり……

 先輩たちの方が鬼。






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