極上ドクターの甘い求愛
「…その、昨日はお見合いが入ってしまって、」
『お見合い!?咲坂ちゃんに!?…って、ドタキャンしたのは咲坂ちゃんだから、そうなるか。でも、ちょっとそれは突然すぎじゃない?』
「は、はい。私もお見合いの話を聞かされたのは前日の夜だったので。断れなくて、岩崎先生とのデートの件は流れたんです。」
『そうなんだ…。』
私の話を聞いた前田先輩も衝撃が大きいのか、ビールジョッキを持つ手が口の前で止まっている。
私も、お母さんからお見合い話を持ち掛けられた後、少しの時間フリーズしちゃったしな…。
目の前の先輩と一昨日の夜の自分が重なって見えて、少し笑みが零れた。
『で、相手はどんな人だったの?イイ人だった?ぶっちゃけ、岩崎と見合い相手、どっちがタイプ?』
「ちょっと先輩、そんなに一気に聞かないで下さいよ…!」
『ごめんごめん!で、実際のところ、どうなのよ?』
体をずいっと私のほうに傾けてお見合いのことを聞いてくる先輩はとても楽しそうだ。
お母さんも先輩も、そんなに先走らなくたって、私は本当のことを言うのに…と、少し思った。
お見合い相手はどんな人?と聞かれて、昨日の昼、私に迫ってきた三上さんの薄汚い笑顔が脳裏によぎった。
「っ、」
『?咲坂ちゃん?』
もう2度と思い出したくない顔が私の頭によみがえった瞬間、無意識に体が震えた。