極上ドクターの甘い求愛
「す、すみません…。あまり、いいことをされたわけではなかったので…、」
『…どういうこと?そのお見合いで、何かあったの?』
先輩の視線が、痛いほど私に突き刺さる。
何かあった、なんてものじゃない。
昨日のことは、きっと忘れたくても、一生私の頭のどこかで暗黒の記憶として居座り続けるだろう。
『咲坂ちゃん?』
「え、あ…その、そんな大したことじゃないんです。岩崎先生が、助けに来てくれましたし…。」
『は?……ちょっと待ってよ、岩崎とのデートはドタキャンしたんじゃなかったの?』
訳が分からない、とでもいうように、目の前の先輩は眉間に寄せた皺をより深くさせている。
「それが…私のお見合いのことを気に掛けてくれたみたいで、わざわざお見合い会場まで来てくれたんです。」
『っ……何やってんのよ、岩崎は…。』
先生があの場にいたいきさつを正直に話すと、先輩は呆れたようにあからさまな溜息をついてみせた。
持っていたビールジョッキをテーブルに置いて、頭を抱えている。…そんな先輩を見て、私は何でこんなにも先輩がショックを受けているのか分からなかった。