極上ドクターの甘い求愛
『ここで何してんだ?』
「……日野くんこそ。ここで何してるの?」
当たり前のように私の隣に腰掛ける日野くんに、そう聞き返す。
『おいおい、俺の質問に質問で返すなよ。』
日野くんも気まずいのか、私に向ける苦笑いはどこかぎこちなかった。
『それに、日野じゃなくて、瀬戸な。』
「あ……ごめん。」
『いいって。中学のヤツらとかは、いまだに俺のこと日野って呼ぶヤツもいるし。』
日野くんは言われなれてるのか、それともこの妙にぎこちない雰囲気を払拭しようとしてくれているのか、明るい声で笑い飛ばす。
小学校の頃よりも、数段に低くなったその声に、男を感じてしまう。
「でも、日野くんは患者さんなんだし…ダメだよ。これからは、"瀬戸くん"って呼ぶ。」
『そんなに難しいなら、俺のこと下の名前で呼んでもいいけど?』
「え?…それは、」
いくらなんでもダメでしょう。
きっとこれは、日野くんなりの場を和ますための冗談だ、とは頭では分かっているのだけど、なぜか上手く笑えなかった。
あの頃みたいに、仲が良かった時のように接してくれる日野くんとは裏腹に、私は日野くんに壁を感じてしまっていた。