極上ドクターの甘い求愛
「ううん、なるべく"瀬戸くん"って呼ぶように、善処します。」
『何だよ、つれねぇーなぁー!』
そう言って笑う、日野くんの笑顔は、あの頃のあどけなさが浮かんで、少年みたいだった。
『…っていうか、もう仕事終わったんだろ?ここで何してんだよ?』
「ん?私は、人を待ってるの。…瀬戸くんは?」
『俺は、さっき手術の説明を受けて病室に帰ってきたところ。』
「あ、そうなんだ…。そう言えば、明後日だよね?手術。」
確認するように聞いてみれば、"おー"という憂鬱そうな返事が日野くんから返ってきた。
再会したときは何でもないようにふるまってたけど…不安だよね。
「大丈夫だよ。主治医の室井先生はイイ先生だから。」
『…おう、分かってる。』
私の言葉なんかじゃ、何の気休めにならないかもしれない。けれど、日野くんはそんな私に笑顔を返してくれた。
『……それ、何?』
「えっ?」
数秒の沈黙の後、ふいに日野くんから私が太ももの上に乗せている小さな紙袋を指さした。
私が抱えているのは、岩崎先生のお詫びの品。
「これはね――」
『繭ちゃん。』
その時、斜め前から、私を呼ぶ声が聞こえた。