極上ドクターの甘い求愛
「――循環器内科のカンファに行ってきます。」
そう言って薬剤部を後にしたのは。11時5分だった。カンファが始まる時間の10分前には到着しておきたい私は、いつもより駆け気味に階段を上った。
7階の会議室7のドア前に到着する頃には、私の息は完全に切れていて。
……本格的に運動不足が祟ってる。今度、ジム通いでもしようかな…。
乱れた息を整えて、会議室7の扉をゆっくりと開けた。
ガチャ……ッ
『えー、今回の手術では、カテーテルを用いて――…』
扉を開けた瞬間、ドア付近に立つ私に、会議室内にいる職員たちの視線が一気に私に集まった。
え……?これは…どういうこと?
『…もうカンファは始まってるぞ。早く座れ。』
「っ…すみません!」
胸部を写したレントゲン画像を投影している大きなスクリーンのそばに立っている、循環器内科専門医であり、原田さんの主治医でもある浅田先生の怒りを宿した瞳が私を捕らえて、早く席につけといっていた。
まだ11時20分になっていないのに、どうしてカンファが始まっているの?
焦る心を必死に落ち着かせながら、最後尾の席についた私は、テーブルの上に置かれた書類に目を通す。
"循環器内科 カンファレンス 05/05 11:00~ 会議室7"
「ッ――!?」
プリントに記載されていたカンファ開始時刻を見た瞬間、息が止まったような気がした。