極上ドクターの甘い求愛



カンファに参加している職員を見れば、手術に関わる医師数名と、看護師と、管理栄養士など、私以外全員が参加していた。

私だけ、ウソの時間を教えられたってこと…?


『――カンファが午前11時20分から会議室7でやるんだって!』


笑顔でそう言った、小島さんの言葉が脳裏をよぎった。

私にウソを伝えたのは、事務の人?それとも――事務の連絡を受けた、小島さん…?


『……岩崎先生の腰ひものくせに、カンファ遅刻するとか有り得なくない…?』

『皆より特別扱いされてるからって、調子乗ってるんじゃないの?』


そんな囁き声が、遠くから聞こえた。

この理不尽極まりない状況に耐えるかのように、下唇を噛み締める。あまりに力が入ってしまったのか、唇が切れて、口の中に鉄の味が広がった。

――最悪だ…。

周りからの容赦ない非難の言葉と視線を浴びながら、私はカンファに全ての意識を持って行った。



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