極上ドクターの甘い求愛



――とうとうこの日が来たか…。


カンファが終わって、より一層高まった私への非難を大きくさせている周りが会議室を後にした直後、一人室内に取り残された私はそう思った。

いつかは来ると思っていた、こんな日が。

今までは、私に対する非難の声は私の業務には差し支えないような軽度なものばかりだった。でも、今回は違う。カンファには10分前行動を心がけていたから、まだカンファの進行に付いていくことができたけれど。

でも、大事なカンファに遅刻するなんて、医療人としてあるまじき行為だ。

顔には出さないまでも、この時の私は相当凹んでいた。

誰が私にこんなことをしたのかはわからない。分かっていても、知りたくもない。結局は、カンファの開始時間をきちんと照会しなかった自分の責任なのだから。


(調子乗ってる、って思われても仕方ないかも…。)


沈んだ気分のまま、私は階段を下りて薬剤部に戻る。

ゆっくりと薬剤部へと続く扉を開けた、その時だった。


『いいの?あんなことしちゃっても。今回はちょっと、やりすぎたんじゃない?』

「……??」


ドアを開けた瞬間に、中から漏れてきた先輩方の声に反応して、私はその場で耳を済ませた。


『どこがですか?カンファの間違った開始時間を教えたのは確かに私ですけど、きちんと確認しなかったのはあの人でしょ?私、何かやりすぎたことしてます?』

「……ッ」


先輩方の不安を取り消してあげるかのように、ハキハキとしたいつも通りの明るい小島さんの声が、薬剤部に響き渡った。



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