極上ドクターの甘い求愛
『…最近、アンタのファンが咲坂ちゃんへの反感を強めていることくらい、分かってるのよね?』
食堂で、日替わりランチを食べている俺の目の前に座った前田は、自分のお弁当を広げるなりそれに手を付ける前にそのことを口にした。
「ああ、分かってる。」
前田に昼飯を誘われていた時から薄々感じていた内容に、俺は至って平常心で答えて見せた。
繭ちゃんが今、どんな目で周りから見られているかくらい、知ってる。どんなに酷い悪口を陰で言われていようと、繭ちゃんが頑張って働いていることも、分かっている。
『看護師だけじゃない、咲坂ちゃんを目の敵にする人達は増えてきてる。ウチでも、あきらかに咲坂ちゃんを狙って嫌がらせしてる職員もいるのよ。』
「……。」
『咲坂ちゃんが好きっていう岩崎の気持ちも分かる。あの子、すごく真面目だし、礼儀正しいし、気が利くし、ちょっとクールだけど、可愛いところもいっぱいあるしね。私も咲坂ちゃんのことは、同業者としても一人の人間としても買ってる。』
そう言いながら、淡々とお弁当に手を付け始める前田に対して、俺は箸がピタリと止まってしまっていた。
少なからず、繭ちゃんへの批判の声が助長されるようになった原因は、俺にあることは分かっていた。
分かっていただけに、今の繭ちゃんの心境を思うと、心が痛んだ。