極上ドクターの甘い求愛
「――あの…ありがとう、ね。」
消化器外科のナースステーションが雑踏に包まれる中、私は庇ってくれた日野くんを連れ出して昨日の昼も来た中庭に来ていた。
ベンチに2人で腰掛けるのと同時に、私は日野くんにお礼を言う。
「……本当に、助けてくれてありがとう。」
あの時、日野くんがいなかったら、あんな風にナースさん達に言い返してくれなかったら、私は――…
『言っただろ。お前が何かされたら、俺は黙っちゃいねーって。聞き逃せるかよ、あんな根も葉もない噂話広めて、悪口言うなんて、聞いてるこっちが胸糞悪ぃ。』
そう言ってくれた日野くんは、まだ私の陰口を言っていたナースさん達への怒りが収まらないようだった。その端正な顔が、怒りで歪んでいる。
「もういいの。」
『っ、もういいって、』
「日野くんがああ言ってくれただけで、救われたから。…もう十分だよ。」
『咲坂…。』
これ以上日野くんに心配かけるわけには行けない。これ以上、日野くんを私の事情に巻き込むわけにはいかないと、無理矢理に笑顔を作って見せた。
そのぎこちない私の笑顔を見た日野くんは、さらに眉間に寄せていた皺を深くさせた。