極上ドクターの甘い求愛
「――先生、本当にもうこれ以上は…!」
何分、岩崎先生と抱き合っていたのか分からない。ほんの1分だったかもしれないし、数十分だったかも、もしかしたら、1時間を超えていたかもしれない。
でも、現在私達は業務時間内にいる。……つまり、仕事をしなければならないわけで。
――こんな、いかにもプライベート感満載の行為をしている場合では、ない。
『…本当に真面目だなぁ、繭ちゃんは。あんなことがあったんだし、繭ちゃんが戻らなくても誰も文句言えないと思うけど?』
「私じゃなくて、先生のご自身の心配をなさってください…!」
『ああ、そういえば俺も勤務中だったね。』
ああ、そういえば…じゃない!
たった今、私に言われてそのことに気付きました、みたいな笑顔を向けてくる先生を少しだけ怒る。
科の方達がきっと先生を探し回ってますよ!と言うけれど、でもPHSには何の連絡もないし、大丈夫だよ。きっと室井が何とかしてくれてるだろうし。と、先生は何食わぬ顔で言ってくる。
「っ……室井先生に業務押し付けてどうするんですか!いいから、先生は科に戻ってください!」
『ええー?もうちょっと繭ちゃんと一緒に――…』
「失礼します…!」
『あっ、ちょっと待ってよ、繭ちゃんー!』
やっと先生の腕の中から抜け出せて安堵していた私を、また抱きしめようとしてくる先生をさっと交わすと、すぐにミーティングルームを後にした。