極上ドクターの甘い求愛


――バタンッ

『待ってってば、繭ちゃん!』


ミーティングルームを出た私を追いかけて、先生もミーティングルームから足を踏み出した。

時間差で部屋を出たのに、すぐに私の隣に追いついた先生は、何でそんな怒るの?と聞いてくる。


「先生が仕事を放棄するようないい加減な人だと思われたくないんです。早く、お戻りになってください。」

『でももう放棄しちゃってるよ?』

「早く…!」


ああ言えばこう言ってくる先生を睨めば、それに怯んだ先生はあっけなく身を引いてくれた。

ちゃんと戻るから…と私に苦笑いを見せている。


『……それよりも、本当に大丈夫?』

「・・・何がですか?」

『本当に鈍いなぁ、繭ちゃんは。今薬剤部に戻って大丈夫なのって聞いてんの。』


薬剤部に続く廊下をスタスタと歩いていると、先生の私を気にかけてくれる言葉が聞こえてきた。

先生って、実はかなりの心配性…だよね?

私…これでも社会人だよ?仕事と私情くらい、割り切れる。


「大丈夫です。私、強いですから。」

『ふっ……そうだね。』


ちょっとドヤ顔で、そう言って見せれば、先生はふわりと微笑んでくれて。

まだ少し無理をしている私に気付いているのか、その優しい手つきで私の頭を撫でてくれた。


『今日一緒に帰ろう。終わったら、駐車場に来て。』

「先生…?」

『じゃあね。』


ちょうどその時薬剤部前に到着して、岩崎先生は和らげな雰囲気を纏って消化器外科へと続く階段の方へ背を向けて行ってしまった。

その後ろ姿を見ながら、ちょっと寂しいかも、なんて思ってしまった。



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