極上ドクターの甘い求愛
それから薬剤部に戻った私を、薬剤部の職員達は腫れ物を扱うかのように接してきた。
その急変した態度と、あまりのよそよそしさに拍子抜けしつつ、それでもこれまでの扱いよりかは幾分マシだとポジティブに考えることにした私は気持ちを切り替え、業務に戻った。
――『お疲れ、咲坂ちゃん。』
「っ、前田先輩…!」
4日ぶりの定時上がりにホッとしつつ、誰もいない更衣室で私服に着替えていると、業務を終えた前田先輩が入室してきて声をかけてくれた。
自分のロッカーのカギを開けている先輩に、すぐさま言葉をかける
「ありがとうございました。」
『ん?何がー?』
「その…岩崎先生に私のこと、相談…してくれたんですよね?」
ロッカーの扉を開けた先輩は、着ていた白衣を脱ぎながら、ああ、そのことー?と特に気にしていない様子で微笑んだ。
『あんなの当然だってー。私はただ、可愛い後輩のためにお節介焼いただけだし。』
「先輩……。」
『言ったでしょ?頼ることも大切だってー。私は、岩崎先生に頼っただけよ。』
テキパキと着替えを済ませて帰り支度を進めて行く先輩に、私は感謝の気持ちを伝えるしかない。
先輩から教わったものは、数え切れないほどたくさんある。人に頼ることを教えてくれた先輩には、一生頭が上がらない。
『もうこの話はお終い!…岩崎先生と仲良くね。』
「えっ?」
まるで私と岩崎先生が恋仲になったことを知っているかのような先輩の口ぶりに驚きを隠せずに固まっていると、先輩は私の肩を叩きながら飛び切りの笑顔を見せる。
『今度2人きりで飲みに行こ!じゃあ、また!』
「ッ――お疲れ様でした…!」
私の方が先に着替えていたはずなのに、スピーディに帰り支度を済ませた先輩は、颯爽と更衣室を出て行った。
……前田先輩に隠し事なんて、一生出来ないんだろうなぁ。
そんなことをぼんやりと思いつつ、私は自分の帰り支度を再開させた。