極上ドクターの甘い求愛
『…ほら、降りないと、本当に連れて帰っちゃうよ。』
「え、あ……っ」
ガチャリと車のオートロックが解除される音が聞こえて、外れかかったままのシートベルトも、先生の手によって完全に外れた。
あれよあれよと先生の手で車から降ろされた私は、まともな言葉が言えないまま。
『お泊りはまた今度ね。』
「……ッ」
『またね、繭ちゃん。おやすみ。』
「おやすみなさ…っい。」
返事をまともに返せない程動揺を隠しきれていない私にヒラヒラとベンツの中から手を振った岩崎先生は、ここに来た時とは打って変わって、高速度で帰って行った。
「・・・。」
先生が運転するベンツが見えなくなってもまだ、私はそこから動けなかった。
あれが私の…ファーストキス――?
先程の情事が脳内を一気に占領した瞬間、全身の熱が再発した。
信じられない、と思ってしまう私の心と反響するかのように、無意識に右手が自身の下唇をなぞる。
私が…先生と……?
今夜は、眠れそうにない。
おぼつかない足でマンションのエントランスに入っていく中で、ただただそう思ったのだった。
―― end ――
