極上ドクターの甘い求愛



まず最初に、部屋を出た私が驚いたのは、岩崎先生の住まいだった。

お医者さんだからそれなりにお給料ももらってらっしゃるでしょうし、こんな広いお宅に住んでいるのは当然なんだろうけど――何、この高さ。

何インチあるんだってくらいの大型液晶テレビと、その目の前にどどーんと置かれている3人は腰かけることができるだろうソファと、分厚い医学書が並んでいる大きい本棚が鎮座しているリビングから見える景色は、私が見たこともないもので。

……ここは空ですか?と問いたくなるくらいに、高い。同じ目線の建物が、ない。目線をだいぶ下げると色んな建物の屋上は見えるけど。

若干高所恐怖症の気がある私は、すっきりとした青空しか見えない外観からソロリと視線を外した。


『あ、やっぱりないかー。』


奥の方から岩崎先生の呟きが聞こえて、キッチンがある方へと向かう。

私の家より当然広いキッチンに足を踏み入れて、大きな冷蔵庫の扉を開く先生に近づいて、冷蔵庫の中を覗いてみた。


「――ビールしか入ってないって、どういうことですか?」

『あははー』


見てビックリ、――を通り越して、呆れた。

なんでこんなおっきい冷蔵庫を置いておきながらその中に入っているのが缶ビール3本なの?意味わかんない。大容量のこの冷蔵庫も悲しんでるよ。

宝の持ち腐れとはこのこと、と痛感した。



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