極上ドクターの甘い求愛
顔がイイから、自分が悪いことしてても相手が嫌な気持ちを持っていても、自分が笑顔を見せてやれば、皆が皆許してくれると思ってる。
そうやって、いつ何時も自分の思い通りの方向へ持っていく。
イイのは外面だけで、中身はカスみたいなヤツばっかだった。私が見てきたモテ男たちは。
岩崎先生だってソイツらとあまり変わんない。ただ頭が良くて、患者さん思いのイイ先生だとは思うけど、そこだけだ。それ以外は一緒。自分がいかに強引だってことが、まるで分かってない。自己中心的――なのかな、私の前だけかもしれないけど。
きっと先生は私のことを都合のいい女としか思ってない。嫌だ嫌だと言いながらも結局は頷いてるんだからさ。……それは強く断り切れない私の優柔不断さがいけないんだけども。
「…卵焼きは甘いやつでいいですよね。」
『うん、繭ちゃんが作るやつなら何でもいいから。』
「……。」
歯の浮くような甘い言葉に、胸焼けしそうになる。
先生は私がキライな生クリームみたいに甘ったるい。甘ったるすぎて、心に尾を引きすぎる。
きっと先生にとっては、こんなことを言うのも朝飯前なんだろうけどさ――…。
ちょっとは私の心のドキドキも配慮してよ、と言いたくなるのをグッと堪えてカートを押した。
恋愛初心者の私には、先生の言葉がどこまでが冗談でどこからか本気なのか分からない。分からないから、一々先生の言葉に反応してしまう心を先生にバレないように必死で隠しているのに。
『ねぇ、今の俺達って夫婦みたいじゃない?』
「……っ」
盾でガチガチに固めたはずの心を容赦なく揺さぶってくる岩崎先生なんて、大嫌いだ。