極上ドクターの甘い求愛



『そうそう!繭ちゃんの笑顔が可愛いって話だ。』

「……もうその話はいいじゃないですか。」

『良くないよ。俺にとっては、驚きで固まっちゃうほど一大事なの。』


・・・。

頭がプヨプヨな岩崎先生にかける言葉が見つからない。

この人……お医者さん、だよね?それなのに、何でこんな阿保そうなわけ?これであの難解な医師国家試験を突破したなんて……、ひとは見かけによらないとはこの人のことを指すのだと分かった。


「あの、恥ずかしいので今すぐにやめていただきたいんですけど。」

『だって本当の事じゃん。クールな繭ちゃんも、酔って笑い上戸になってる繭ちゃんもいいけど、やっぱりふわりと笑う繭ちゃんが一番好きだな。』

「……っ」


恥ずかしいって、言ったばかりなのに。

人の話をちょっとしか聞いていない隣の男に、思わず赤面してしまっている自分が憎い。

例え紙切れ一枚よりも軽い上っ面な言葉だったとしても、私の正直すぎる心はすぐに反応してしまう。

どこまでが冗談で、どこからが本気なのか。

いつも疑問に思っているそれは、先生の爽やかすぎる笑顔を見ても、正解は導き出せそうにはなかった。

――あまり期待しないほうがイイ。


「……ご飯の準備をするので、あっち行っててください。」

『あ、今話逸らしただろー?』

「知りません。」


釣れないなー、と言いながら先生は楽しそうな雰囲気でキッチンから出て行ってくれた。

…ふぅ、やっと落ち着けた。

安堵の溜め息をこぼした私は、最後のおにぎりを握り始めたのだった。



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