極上ドクターの甘い求愛
忘れかけていた記憶の中に、日野君と過ごした時間はちゃんと残っていて。
「嘘……本当に日野くん…っ!?」
『やっと思い出してくれた?そうだよ、日野。高校の時に両親が離婚して瀬戸に変わっちゃったけどね。』
あまりの驚きで、丸椅子から崩れ落ちそうになる自分の身体をなんとか支える。
全く分かんなかった…と目を丸くする私を見て、日野くんは苦笑いで俺は一目で咲坂だって分かったけどね、と言った。
「…久しぶり、だね。」
『おう。中学以来だから…10年ぶりくらい、か?』
――そっか。もうそんなに経つんだ。
そりゃあ、日野くんの顔を見ても誰かに似てるなくらいで思い出せないはずだ、と妙に納得した。
「元気してた?…って、元気だったらここに来ないか。」
『この歳で盲腸って…有り得なくね?本当勘弁してほしいわー。』
盲腸にかかったことなんてあまり気にしていないのか、あははと笑っている。
笑った顔は、小学校のころとあんまり変わんないなーなんて、呆然と思った。
「こっちに住んでるの?」
『まぁな。まさか、盲腸で倒れた先に連れてこられた病院で咲坂に会うなんて思いもよらなかったけど。……夢、叶えたんだな。やっぱすごいわ、お前。』
「……そんなことないよ。」
小学校のころ、咳が隣同士になったときに彼と話した将来の夢のことをまだ覚えていた日野くんに少し驚いた。