極上ドクターの甘い求愛



確か日野くんはコックになりたいとかって――…


「そういう日野くんは、」

ガララッ

『あ、繭ちゃん!』


今、日野くんは何をしているのかと聞こうとすると、私を呼ぶ声に邪魔された。

振り返らなくたって分かってしまうんだから怖い。

病院で、私を下の名前で呼ぶ人なんて、一人しかいない。


「……岩崎先生、何回言えばご理解していただけるんですか?下の名前で呼ばないでほしいとあれほど――」

『美味しかったよ、お弁当!』


・・・はぁ。

何をしに来たのかと思えば、この人は…。

呆れてモノも言えないとはこのこと。

夜勤明けとは思えないほどの爽やかな笑顔を浮かべた岩崎先生に、お返しとして溜め息を吐いた。


「…それは良かったです。でも、先生?」

『何?』

「昨日、あれほどお弁当のことは誰にも言わないでくださいとお願いしましたよね?その耳はお飾りですか?ね?」


心の奥底からの冷たい微笑を先生に向けると、先生の頬が少し引き攣った。



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