新選組へ ~ 連理之枝 ~
3日後、二条城へ来て欲しいと知らせがある


山南くんと2人で向かった

慶喜様が直々にお相手して下さった

「誠だが… 目が覚めてから、一言もはなさぬし、何も食べぬ
まるで…抜け殻のようにしておる
お主らなら、と思っての」


夏弥ではなく、誠と呼んだ

慶喜様の言葉に、誠の心配が増し

会わせて頂くことに


「誠…」


頭を撫で、頬に手を触れても

目線があうことがない


「誠…」


手を取り握っても、握り返してくることもない

少し手を緩めると、ダランと落ちる


記憶も、生きる活力も、失ったのだ


「誠!!俺が、わからないか?」

誠の目の前に顔をやり、無理に目を合わせる

ぼーーっと瞬きをするだけ


山「慶喜様、ずっとこの状態ですか?」

慶「目が覚めてから、ずっとだ
昨日は、寝ておらん
近藤、すまん… 連れて帰ってくれ」

「わかりました」

少し、ムッとした

手に負えぬから、捨てるのかと…


誠は、俺達の家族なのだから

記憶なんて無くたって

大事な家族にかわりない



「誠… 帰ろう!!」


にっこり笑ってから、誠の頭を撫で

両手を肩にかけ、おんぶした


「軽いな…」


驚いた

3日どころか、ずっと食べていないのでは?

と肝が冷えた


足も細く


子供とはいえ、とても男の足ではない


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