新選組へ ~ 連理之枝 ~
近藤さんと2人きりの時

「かっちゃん、誠が帰ってくるのに
嬉しくねぇのか?」

聞いてみた





「誠とは、見ている景色が違う
新選組は、誠の為にあるのではない
誠に、利用されているのかもしれん」



「……それ
伊東さんに、言われたのか?」


「……」


何で、黙ってんだよ!
誠より、伊東さんを信じるのかよ!!


「本気で、言ってんのか?
誠が俺達を利用しているなんて
そんなこと……あるわけねぇ!!」


「だったら、なぜ!!
二条城の人々の前で、しらぬ顔をする?
関係無いフリして、おかしいだろ?
堂々と出来ぬなんて、やましいからだ!」


「慶喜様の手前、出来ないって言ったろ」


「口実だ!!」


「誠は、新選組を作ったんだ!
利用したとして何が悪い!!
かっちゃんを
あんなに慕っていたのに…
かっちゃんは、伊東さんのが大事かよ?」

「ああ、伊東くんは新選組の仲間だ」



スパンッ



襖が開き

山南さんが入ってきた



「家族だと、言ったではありませんか!」



「あの時はね…」



「かっちゃん…」



「新選組を守らなければならない
歳!山南くん!
誠をずっとここには置かん!」




言葉を失った


伊東さんがこんなに影響与えているなんて

廻りが何を言おうとも

信じたものを疑わない

真っ直ぐな近藤さんが…家族だと

あんなに可愛がっていた、誠を…





「見損ないましたよ…」






山南さんが吐き捨て、部屋を出た

俺も、部屋を出た


「土方君、今の近藤さんには正直に
失望したよ
あんなに体調崩す程、あちらの生活が
誠にとって辛いのに
新選組の為に、自分からここを出た
どうして、疑うのか…」

「同じ意見だ
誠は、新選組を裏切らねぇ!!
誠が単に可愛いから、言ってんじゃねぇ
誠は、新選組を利用しない!!
今回だって、拒否したんだ!
このままじゃ…死んじまう…」

「土方君…そんなに悪かったんだね?」

「あぁ、遺言みたいに
近藤さんのこと頼んだり…
慶喜様に今後のこと言ったり…
息するのがやっとみたいなのに
喋って…伊東さんに気をつけろって
こういうことか…
近藤さんが、近藤さんらしくなくなる
どうしたらいんだ…」


「土方君、近藤さんに
自分を取り戻してもらいましょう!!」










その夜は、一睡も出来なかった


悔しくて、悲しくて、不安で



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