新選組へ ~ 連理之枝 ~
誠を見つけ出せないまま

数日経った



誠の事を考えない日はない

無事でいてくれると、信じるしかない



幹部には、ぎくしゃくした空気が未だある

すべて、伊東さんが絡んでいた


困った…


俺は、伊東さんが苦手だ…


ああ言えば、こう言う


頭の回転が早い


伊東さんに意見するときは、それなりの

策がいる


本当、厄介だ


意見交換なんて、前は気軽にしていた


今は、聞いても答えねぇ

原田も、永倉も

のん気な総司も 窮屈ですねぇ~

とか言って、冷えた空気にするが

意見は、言わねえ


どうせ、伊東さんが決めるでしょ?


なんて…


これでいいのかよ?












誠の行方がわからなくなって

ひとつきが、あっという間にすぎた

もう大丈夫だろうと安堵した


手狭になった屯所を移転する話になるが

移動先をどこにするかでもめている



候補は、西本願寺



伊東さんと山南さんが対立する中

近藤さんが言った


「山南君は、最前線に出ないのに、そんな意見を言う資格は無い!!」


山南さんは、出ないのでは無く

出れない

手に傷を負い、刀が思うように振れない


それでも、隊士の教育や屯所の守り

何より、隊務の入れ替えなど…

隊士の希望にそう、勤務を作るのに

秀でていた


それをわかっていたはずの

近藤さんの発言は、山南さんを否定する

ものだった


「お役に立てなくて、申し訳ありません」


山南さんの返答が、俺の胸を締めつけた


「山南さんは、良くやってくれているさ」


俺の言葉に古株は、頷くが

近藤さんは


「どうだか…」


そんなことを言った





一体、どうしちまったんだ?








そして、事件が起きた
< 210 / 323 >

この作品をシェア

pagetop