新選組へ ~ 連理之枝 ~
年明けから
【誠】


産みたい…

でも… 政に関わらせたくない


今なら…


逃げられる…




着替えて、城を抜け出した


フラフラと言うことを聞かない足で


必死に逃げた



何度も膝をつき



もう、立てない


そう、思ったが… 産みたい


その気持ちだけで、体を動かした


尼寺にたどり着くと、安心し


眠気が襲った













目が覚めると…



布団の中で、女僧侶に見つめられていた


「た…すけて…」


俺は、涙を流してお願いしたが



首を横に振り




「残念でしたね」





そう言った







涙を流すしかなかった




産みたかった…


慶喜の子供…


また、産めなかった…




ただただ、流れる涙を拭くこともせず


何日も泣いた







体調がなかなか回復せずに


ひとつきかかった


以前のように動けるようになり



京を出る計画を考えた



「お世話になりました」



深く頭を下げ、感謝した



裏をかこうと思ったが、江戸に行こうと


歩き出した




これは




運命のイタズラ




出会うはずのなかった俺達が



こんなに偶然出会うはずがない




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