新選組へ ~ 連理之枝 ~
本当の出会い
雲一つない空に太陽が昇りはじめた頃

城を出た


朝、迎えに来た佐々木に、東宮様は言った

「手がかりをみつけたら、俺が合図します
佐々木さんの信頼する方と俺を話させて下さい
その間、慶喜様は様子がおかしいという
近藤の相手をして下さい
もちろん、操ってる方も引き留めて下さい
いいですね?
あっ!向こうでは、呼び捨てさせてもらいますね!」



まるで…


何か目星がついているような


そんな口ぶりだった






新選組の屯所は少し近くなった

輿の中で、やはり会わせたくないなと

往生際が悪い俺がいた



俺が新選組と関わらせなければ



これが初めての顔合わせ


いや、出会うことなどなかったか?


まさか、親王宣下を受けた


東宮様だとは、俺も知らなかった


知らずに惹かれて



傷つけた




余計なことは考えず



自由にすることだけを考えよう!!




輿の中で、ひとり大きく頷いた





「到着致しました」

「うむっ」



輿から出ると門前に、幹部総出で出迎え

深々と頭を下げている


東宮様もお出になる


この後の反応が、想像出来ているので
気が重い…


「面を上げよ!
東宮様を中に案内せよ!」


!!!!!!!!!!!!!!!!!!


わかっていたが…

あまりにもわかりやすい反応だ


「とっ…東宮様!?ですか?」

「ええ…其方は?」

「伊東 甲子太郎と申します」

「そうか、よろしくな」


顔は、笑っているが素っ気ない…

新選組からの熱烈な視線は、無視して

勝手に中へ入る


「東宮様!!お待ちを!!」

「見られて困るものでもあるのか?」

「そういうわけでは…」



凜として、堂々とした振る舞い

東宮様であることは、間違いない



「東宮様をお待たせするな!
早く中を案内しろ!!」


「はい!!」


自己紹介や挨拶もさせないまま


ズカズカと中へ進む東宮様を

ご機嫌取りに必死な伊東がついて行く


幹部達が慌てて後を追う




何事もなければよいなと切に願う…





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