新選組へ ~ 連理之枝 ~
【佐々木】


合図…


東宮様からの指示通り、土方を連れ出した


勘定方へ向かう廊下で


「東宮様、こちら新選組 副長 土方 歳三
この男は、信用出来ます」

「ん… まず、勘定方だ」


パラパラと帳簿に目を通して


「土方、お前が信頼する者の部屋で
話をしよう」


そして、沖田の部屋に来た

簡単に自己紹介をして


「まず、聞きたい! お前のか?」

東宮様が天井を指差す


土「はい…降りてこい」


シュタッ


うおおおお!? 誰だ!? いつから!?


「監察方 山崎 烝と申します」

「山崎に頼みがある…
伊東の部屋に忍び込み、お香を触ってきてくれ!
常用の物でなく、削りながらちまちまと
使ってそうなヤツだ!右手を出せ!」


山崎の右手を懐から出した手拭いで拭く


「他の物は、触るな」


「はっ!!」



シュッと山崎が天井に消え

東宮様は、沖田をジロジロ見る


「床に伏せって長いのか?」

「いえ?最近ですよ?
風邪が長引いているみたいで…」

「横になっておれ」

「えっと… はい…」


「土方…お前は、俺を何と呼んでいた?」


!!!!!


「っ…誠です」

「そうか…佐々木は?」

「夏弥です」

「なるほど…
ずいぶんと皆の視線が熱いので
関わり深いのだろうと思ったが
名まで貰っていたか」


にっこりと笑って


「世話になったようだな」


そう言った




シュタッ



山崎が右手を差し出した


東宮様がにおいを嗅いで、あろうことか



パクッ



山崎の人差し指をくわえた


真っ赤になった山崎と固まる3人を他所に


懐から出した手拭いで、山崎の人差し指を拭く


「間違いない
伊東と近藤から、微かにあれの匂いがした
俺の作ったお香なんだが…
作るときに少し俺の血を混ぜてみたら
記憶や思想を操れるようでな
3個のうち1つが行方知れずだった」


沖「それを伊東さんが手に入れ
近藤さんを操ってるんですね!!」


「おそらく…きちんと管理していたら
…すまない」

土「近藤さんを元に戻せるか?」

佐「土方!口の聞き方に気をつけろ!!」


「似たようなお香と、すり替えよう
それから、明日何処かで会えぬか?」


佐「東宮様!!何を!?なりません!!」


「沖田の病を治してやる」


!!!!!!



「お香の詫びだ
そろそろ、戻ろう
佐々木、明日の段取りは、任せたぞ!」


意地悪そうに笑う顔は、夏弥のままで


どれほどの難題を突きつけているか


まるで、仕返しではないか!!





< 240 / 323 >

この作品をシェア

pagetop