新選組へ ~ 連理之枝 ~
お香は、うまくすり替えることが出来た

翌朝、松本医師の診察を受けた

「どうやって治したんだい?」

死病と言われている労咳が、1日で治ったとあれば、医者でなくとも不思議だろう


「わかりません!なんでかなぁ?」


総司とすっとぼけて
待ち合わせの宿へ


そこには、すでに誠…東宮様がいた


東「どうだった?」


昨日と違い、また東宮らしくしていた


沖「治っていると言われました!
ありがとうございます!!」

俺「お香もすり替えました
これ… お返しします」

すり替えた、本物のお香を東宮様に渡した

沖「今日は、お一人ですか?」

東「佐々木は、巡察当番なんだと」


佐々木殿…仕事してたんだ


ちょっと失礼なことを思ってしまった


沖「へぇ~」


たぶん、総司も同じこと考えたな



東「沖田、ちょっといいか?」


東宮様は、真剣な顔で…


総司の着物をずらした

沖「へ?ちょっと!!なんです?」

抱きつくように手を背中に回し

目を閉じた

東「やっぱり…まだ残ってるな」

俺「医者は、治ったと言っていました」

東「昨日は、寝転んでいたから手が届かなかった
きちんとしたい」

そう言って、懐から小刀を出し、舌を切った


すでに顔を赤らめている総司に
口づけをした


しっかり背中に回された手が、何回か
動いて

唇が離れた


東「ふぁ~ 疲れた~」


膝立ちだった東宮様は、ゆるゆるっと
倒れ込むとこを総司に抱きとめられた

スヤスヤと寝息をたてる

東宮様の頭を撫でた

俺「誠…」

自然とそう呼んでいた


沖「離したくないですね…」


何度も記憶を無くしては戻って来てくれた


誠が本当の自分に戻っても、また


俺達と出会ってくれた


これが、本当の出会い

仲良くなるはずも、本当は無かった


そして、これが本当の別れかもしれない
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