新選組へ ~ 連理之枝 ~
【土方】

誠が笑うところを佐々木殿は、見たらしい

佐々木殿は、誠の扱いが上手い

なんだかんだ

無礼なことを言っているけど
相手が佐々木殿だからだろう

俺には言わないもんな
毎日、抱きついてんのに…

誠が部屋を出てから
誠の記憶について、佐々木殿にお話しした

佐「そうか、梶田殿から…
俺は、紅葉様から聞いたよ…」

山「恋仲だったのですか?」

佐「想い合っていたが、身分が違うからな……まぁ、覚えて無いみたいだしな」

沖「切ないですねぇ
覚えていないのに、紅葉様の前で笑顔になるんだから」

そんな会話をした



その夜、誠の星見に邪魔しようと廊下に出た

木彫紅葉を見て、涙を流していた

俺に気づいても、涙は拭かず

星を見上げた

無表情だった

最初に見たかった笑顔ではなく
泣き顔を偶然にも見てしまった

誠の隣に座った

「思い出したのか?」

「……なんででしょうね?
悲しくはないんですけど… 」

誠の涙を手で拭った

「記憶のこと、誠から話してほしかった」

「記憶?」

「無くしてるんだろ?」

「……よくわからないんです」

「春歩」

「 …… 誠です」

「そうだな……誠だよな!」

頭をガシガシ撫でた
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