雨恋~雨のちキミ~
気まずい空気のまま歩き出す

隣の席だから、別々に行く理由もないし

だけど何か話題を…と思えば思うほど

何を喋ったらいいのか分からなくて

無言のまま教室まで


「おはよー…。あれ?珍しい組み合わせ」


柚羽があたし達を見て目を丸くする


「里中くんやめて、塩野くんにしたん?」


ニヤッと笑って言うけれど

冗談でも止めてほしい


「ちょー、冗談やって。そんな顔しなや」


塩野くんに聞こえないよう、耳打ちしてくる柚羽

ふと隣を見ると、あたし達のことを気にする風もなく

鞄から教科書やノートを出して机の中に入れていた


「自分ら、何かあった?」


昨日の掃除の時間やさっきのことが脳裏をかすめたものの

柚羽に打ち明けていいものか悩み

曖昧に笑って済ませる


「………ま、えーか。また昼休みにでも聞くわ」


「…うん」


せっかく水月先輩と付き合えることになったのに

先輩との時間は全然ないし

なぜかそれ以外の周囲に振り回されてるし


付き合うって、こんなもん?

付き合うって───

もっとドキドキして、2人の時間を楽しんで

甘くて切なくて…

って………思ってたんやけど、な…


「はぁ───っ…」


肺の中にある空気すべてを出し切る勢いで溜息を吐く

夏を思わせるような紺碧の空に似つかわしくなく

あたしの心の中は灰色の雲でいっぱいだった
< 82 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop