雨恋~雨のちキミ~
※※※



何事もなく一日が終了する


いや…

何もないとは言わんのか………


教室での女子の視線が痛かったけれど

休み時間になる度に

どこの誰だか分からない女子達が教室内を覗き込んだり

クラスの子に声を掛けて遠巻きにあたしのことを見たり…


指差されたりもしたな…


皆があたしのことを見に来た理由は定かではない

だけど、今朝先輩達が言ったように

食堂であたし達の話を聞いた人達から広まって

学校中で噂になっているんだろう

先輩と付き合っている、と事前に伝わっていたからか

柚羽から何か言われることはなかったけれど


「千ー賀ーちゃーん!」


賑やかだった放課後の教室内が

水を打ったように静まり返る

集まる皆の視線の先には、鷹野先輩


「やほー」


廊下側の扉にもたれた状態で教室内に身を乗り出している先輩は

鞄を担ぎ、満面の笑みで左手を振っていた

先輩の姿を確認すると、皆の視線は先輩をたどってあたしに集中する


何なん?


なぜ鷹野先輩がここに居るのか理解できず

手を振り返すことも、微笑むことも出来ない

むしろ、頬が引きつる

ちょいちょいと手招きをされ、無視するわけにもいかず

鞄に荷物を詰め、皆の視線から逃れるように教室を飛び出した
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