雨恋~雨のちキミ~
「朝、何人かに連れて行かれてたやろ」


いつの間にか居なくなっていたと思っていたのに

あたしが呼び出されたところは見ていたらしい


「それ、ホンマ?」


嘘を吐くことが躊躇われ、仕方なく頷いた

先輩の表情が曇っていく


それにしても…

見てたんやったら、助けてくれたら良かったのに


鷹野先輩に抗議の視線を送った


「唇尖ってんで」


場の空気を悪くした張本人のくせに

自分の唇に指を当て、楽しそうに笑っている


「鷹野先輩!」


「ごめんごめん」


全く謝る気のなさげな謝罪

水月先輩は俯いていて表情が分からない


「水月先輩?」


「あ、あ…。帰ろっか」


顔を上げた先輩は微笑んでいるものの

眉毛は少し下がったまま

困らせたくなかったはずなのに

嘘を吐いたことで、結局先輩を困らせてしまった


───ごめんなさい


直接言ってしまえば、もっと先輩を困らせるような気がして

あたしは心の中でそっと先輩に謝る

普段ならジメジメから解放されて嬉しいはずの梅雨の中休み


あたし達の距離は、ホンマに近付いてるんかな………


快晴の空とは裏腹に、あたしの心は雨模様だ
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