君に捧げる花束を






一手、一手に一喜一憂して見ていると最後の矢になった。





函南君チームは、今のところ二十本中、十五本中(あたっ)っていて。





函南君は今まで射ってきた三本の矢を全て中ている。





そして、あと一本で、全部中ったことになる。




全て射ち終わった選手は既に退場していて、的の前に立っているのは函南君ひとりだけ。




皆の注目を一身に集めていて。持っている矢も最後の一本なのに、函南君は怖いくらいに落ち着きはらってきる。



切れ長の目が見据えるのは、二十八メートル先にあるという、白と黒の丸い的だけ。





滑らかな動作は一寸の狂いもない。




弦を引き、静かに神経を研ぎ澄ませて。





会場のざわめきがなくなって、しんとなる。





ゆるゆると喧騒の中で揺れる狙いが、




静寂の中でだんだん、高まっていって。








刹那、弓から矢が離れた。










パーーーン!!!!






一瞬の静けさの後、











「「「よーーーし!!!」」」













パチパチと大きな拍手が起こる。








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