君に捧げる花束を
「ね、人のものに手ぇ出しちゃ、いけないよね。」
白い歯が愛らしい唇の隙間から覗いた。
笛の音のような、コロコロと心地の良い声。
天使みたいな笑顔。
なのに、
瞳は底知れなく、暗く、暗黒に染められていて、何も写していなかったのだ。
笑っているのに、笑っていない。
思わずぞくっとした。
「ね、芦屋さん。」
その視線は紛れもなく、清花に向けられていた。
こんなに可愛い女の子なのに、
その笑顔が怖いと思った。
それはみんなも同じく感じていたようで、賑やかな教室の中で、ここだけ異質な世界に飛んでしまったように、静寂に包まれた。
空気が一瞬、固くこわばる。
「……北条さん。」
その空気を破るように、静かな声がかけられた。