君に捧げる花束を
どんどん早まる鼓動に急かされるようにして、転がり込むように人気のない階段の踊り場に逃げ込むと、よろよろと一番上まで登って、そこに座り込んだ。
ひっく、と喉が痙攣を起こしたかと思うと、抑えるまもなくどっと目から涙が顔中を濡らした。
家に帰って、夜が訪れても、涙の途切れる気配はなかった。
朝起きて、晴れ上がった瞳と、それ以上に.熱さと痛みを伴った心によって、昨日の出来事が現実だと思い知らされる。
目の端に映り込んだケータイがチカチカ光っているけど、電源を落として机の中にしまいこんだ。
今は何も知りたくなかった。
ドライアイスを当てて、しょぼくれた瞳を目覚めさせた。
制服に着替えて、家を出る。
いつもの日常だったはずなのに、妙な違和感が胸に沸き起こった。
こうして、電車に乗って、通学路を歩いて、下駄箱で靴を履き替えて。
教室に立つ自分を、もう一人の自分が傍から眺めているような。そんなふわふわした感覚。
精神的な痛みの痛覚は涙と共に流れてしまったのかもしれない。
だから教室を開けて、静まり返った教室も。
呟かれる生徒達の囁きも。
何ひとつ心に響かなかった。
ただ、虚ろにさ迷う思いが苦しくて…うつむいて何もかも全部に蓋をした。