君に捧げる花束を





恐ろしい事はこれで終ではなかった。








ある日体育の授業から戻ってきた時に、少し咳が出てきたので薬を吸引しようとすると、






薬がなかった。







さっと血の気が引いていくのがわかった。


清花を含めて、この病気の者は薬がなければ大変な事になる。呼吸困難で最悪死に至る事も珍しくない。






特に、清花のように、症状が重篤しがちな患者にとって、薬がないという状況は…





震える手でカバンを持って学校を飛び出した。





その間も、気道が蝕まれるように狭くなり、やがて呼吸する度にヒューヒューと喉が鳴り始めた。







やっとの思いで家に着くころには、喘鳴が絶えず口から漏れて、意識をしていても呼吸が苦しくなっていた。



這いずるような思いで薬の入ったポーチを引っ掴み、中の薬を引っ張り出した。

荒い息のまま薬の吸引口に口を当てる。




少しずつ、少しずつ呼吸が楽になってゆく。




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