君に捧げる花束を
聞きなれた野風の無愛想な声が、清花の胸に安心を与えてくれた。
でもその瞬間、北条さんの、あの冷たい瞳が脳裏に浮かび、はっと顔をこわばる。
こんなことしてるのが、北条さんにバレたら…
野風は大丈夫なの…?
そんな清花に向かって、本当に飽きれたふうに野風がジト目で睨んできた。
「あんな貧相な脅しなんて全部嘘に決まってんじゃん。
マンガじゃないんだからさぁ…。
だいたい、権力を利用して脅すとか犯罪だから。
…でも、やっぱ、金持ちの思考はどうなってんだかわからないからねぇー。下手に刺激はしない方がいいとは思う。
そんで、そういう話をあんたに伝えようと思っても、ラインの返事はないし、逃げてばっかいるから、近づこうにも近づけなかったんじゃん。」
皆に迷惑をかけないようにしていた事が、同時に皆を遠ざけていったんだ。
皆から嫌われてなかったという安心感に包まれる。
それと同時に、ようやく自分の置かれた立場が呑み込めてきた。
「じゃあ…。やっぱり野風が…。」
危ない、と続けようとして野風に制された。
「あんたもしつこいね。」
野風はふうっと鼻息をもらした。