君に捧げる花束を
心臓も、呼吸も苦しい。
耳の奥がどくどくいってる。
一秒、一秒がスローモーションみたいで。
自分を見つめる黒い瞳に捕らわれて、逸らすなんてできない。
「私、そんな……函南君を試すようなことしないよ。」
函南君の瞳が怪しげに光った気がした。
清花をいつも惑わす時の、あの危険で妖艶な表情を浮かべている。
ややあって、ふっと小さく息を漏らして笑うと、
「無意識…?
それちょーむかつく。」
耳元で囁かれて…
腰が抜けた。
「ちょ…」
ちょっと焦ったような函南君の顔が上へ遠ざかっていく。
清花は壮絶な函南君の色気に当てられて、壁をズルズルと伝い、地面にすとんとへたり込んでしまった。
「芦屋さん。」
函南君も同じく清花の前に跪くと、伺うように清花の顔を覗きこんできた。
涼やかな瞳が、ちょっとだけ揺れている。
綺麗だな、と沸騰しきった頭でぼんやりしながら函南君を見つめ返した。
「………あのね、函南君。私どうしてもこれを渡したくて、ここに来たの。」