2・5次元の彼女
HARUはオフィスワークで、私は接客業。
2人の時間はなかなか合わない。
だからせめて、少しだけでもと、HARUは私の仕事が終わるのを職場の近くで待っていてくれた。

今日も22時近くになってしまった。
終電まであと少ししかない。
私はHARUが待ってくれているバーへ、急ぎ足で向かう。

正直、ひとりでバーへ入るのは、ものすごく緊張する。
『バー』イコール『酒の善し悪しが分かるリッチな大人の集う場所』というイメージがあるし、そんな場所とは縁のない生活をしてきたし。
こんな小娘が入っていいのかと思ってしまう。

不安に拳を握り締めながら、そのバーへと続く地下への階段をくだる。
最下層にある、木製のアンティーク調の扉。
どきどきと鼓動を高鳴らせながら、その扉を押す。

おそるおそる中を見渡すと、カウンターに座るHARUの姿を見つけた。
「お疲れ」
HARUは一足先に酒を嗜んでいた。
ウイスキーだろうか? 琥珀色に染まった幅の広いグラスに大きな丸い氷が浮かんでいる。

HARUはその場所が似合っていた。
バーでひとり佇む姿は、普段より一層、格好良く見えた。
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