2・5次元の彼女
「待たせてごめんね」
私は隣に腰掛ける。

「全然平気」
HARUがグラスを弄び、氷がカラカラと音を立てる。
「このあと、夕莉に会えると思えば、一人で待つのも悪くない」
そう言って浮かべた笑みは、いつもの何十倍も甘く見えた。

きゅっと胸が震えて
どうしようもなく嬉しかった。

ほら、
私がHARUのことを好きなのは、紛れもない事実だし。

顔を見れば、こんなに信頼できる。
あれだけ疑っていた自分がバカみたいだ。

――だとしたら

景斗に抱いたあのときの感情はなんだろう。

恋じゃない。

じゃあ友情? 哀れみ?
ううん、そんなんじゃない。

まさか、2人を同時に好きになるなんてことは――
そんなことが頭を掠めて、そんな訳はないと振り払った。

私はそんなに器用じゃないし
それって、きっと、最低なことだ。

はっきりしていることはただひとつ。
景斗のことが大切で、心配だ。
< 91 / 241 >

この作品をシェア

pagetop