幸せそうな顔をみせて【完】
 会社を出ると、既に空は暗くなっていて、星が瞬いている。いつもはそんなに気にしない空を眺めながら頑張ったことによりやり切った感が私を包んでいた。今の気持ちを副島新に聞いて欲しいと思ったけど、副島新は彼なりに自分の仕事を頑張っていると思う。


 それと同時に新規企画のプロジェクトリーダーもしている。私よりももっと仕事が忙しいと思う。そう思うと『会いたい』だなんて我が儘は言えないと思った。


 電車に乗って、途中で今日の夕食の買い物をしてから自分のマンションに戻ると、フッと疲れが押し寄せてきた。昼から休憩も取らずに必死に仕事をしていたのだから、疲れもする。パソコンとにらめっこをしていたからか、目の奥が少し重い。肩凝りも凄い。


 買ってきたものをテーブルの上に置くと、そのまま冷蔵庫に行き、中から缶ビールを一本取り出したのだった。いつもなら食事の時にたまに飲むこともあるけど、今日は疲れていたからか身体が冷たく爽やかなものを求めていた。プルタブを開け、口をつけると、私が思い描いていた爽やかさが喉を潤していく。


 夕食はコンビニで買ったもの。


 弁当を買うでもなく、ただ、サンドイッチを買っただけ。今日はこれで十分だと思った。すきっ腹にビールを飲んでいるからか、たった一本も空ける間もなく、次第に気持ちよくなっていった。気持ちはよくなるけど、急に寂しく思うのも現実で…。


 私は副島新に会いたいと思った。
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