幸せそうな顔をみせて【完】
「俺は葵が好きで、結婚を前提に付き合いたいと思っている。俺のマンションに連れて行くのは葵が期待しているようなつもりはない。ただ、もう少し一緒に居たいだけ。まさかここであれ以上のキスをするなんてことは多少の酔いでも恥ずかしいだろ」


 多少気になる箇所はあったけど、副島新が私のことを本気で思ってくれていて、まだ一緒に居たいから連れて帰るってことなんだろうけど、それにしても、もう少し俺様発言をやめてくれたら分かりやすいのに。


「それって泊まるの?」


「どっちでもいいけど、俺とお前のマンションは近いだろ。帰りたいと思えば帰ればいいし、帰りたくなかったら泊まればいい。帰るなら夜中でもマンションまで送ってやる」


 確かにお持ち帰りとかいうから反応しちゃったけど、私も副島新も会社の借り上げのマンションの一室に住んでいる。流石に一緒のマンションじゃないけど、私が住んでいるマンションは副島新の住んでいるマンションから歩いて十分の距離。


 考えてみればそんなに焦る必要もないのかもしれない。


「明日、出直すっていうのは?お昼から会いに来るから」


 名案だと思った。

 仕事帰りの今は、スーツを着込んでいるし窮屈だ。それなら明日の方がいい。






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