幸せそうな顔をみせて【完】
街の中心部から二駅離れた場所だった。高層ビルの二階から六階までのフロアに瀬能商事がある。地下の駐車場から上がってロビーに行くと、太陽の光がガラス越しに優しく降り注ぐ明るい空間が広がっていた。床はピカピカに磨かれていて、その風格を魅せる。そんな佇まいの中、私は背中が伸びる気がしていた。
「着いたね」
「はい」
それにしても尚之は資産家の息子というのも知っていたし、親の経営する会社に入社したのも知っていた。でも、尚之の父親が経営する会社の規模がここまで大きいとも思わなかった。圧倒される大きさに私は少し伸ばした背中を保つのが必死だった。
「さてとここの契約が取れたら瀬戸さんにとって自信に繋がると思うよ。瀬能商事の専務を驚かせてやろうな」
「え?」
「プライベートのことはいう必要ないから」
どこまで小林主任は分かってるのだろうか?今の口ぶりからだったら、尚之が私の元カレというのは分かっているのかもしれない。でも、敢えていう必要はない。今は仕事のことに集中したいと思った。
「ありがとうございます」
「さてと、戦闘開始かな」
小林主任は穏やかな表情の中に鋭さを隠し、優雅に受付の方に向かう。その動きに視線を囚われるのは受付の女の子で、ゆっくり近づく度に頬を赤らめている。こういう会社の受付嬢は訓練されているはずなのに、その表向きの仮面を破らせるくらいに小林主任は自分の持てる魅力を全開してニッコリと笑ったのだった。
「着いたね」
「はい」
それにしても尚之は資産家の息子というのも知っていたし、親の経営する会社に入社したのも知っていた。でも、尚之の父親が経営する会社の規模がここまで大きいとも思わなかった。圧倒される大きさに私は少し伸ばした背中を保つのが必死だった。
「さてとここの契約が取れたら瀬戸さんにとって自信に繋がると思うよ。瀬能商事の専務を驚かせてやろうな」
「え?」
「プライベートのことはいう必要ないから」
どこまで小林主任は分かってるのだろうか?今の口ぶりからだったら、尚之が私の元カレというのは分かっているのかもしれない。でも、敢えていう必要はない。今は仕事のことに集中したいと思った。
「ありがとうございます」
「さてと、戦闘開始かな」
小林主任は穏やかな表情の中に鋭さを隠し、優雅に受付の方に向かう。その動きに視線を囚われるのは受付の女の子で、ゆっくり近づく度に頬を赤らめている。こういう会社の受付嬢は訓練されているはずなのに、その表向きの仮面を破らせるくらいに小林主任は自分の持てる魅力を全開してニッコリと笑ったのだった。