幸せそうな顔をみせて【完】
私の言葉に副島新は動きを止め、訝しげに見つめると、私との距離を空けた。だけど、副島新は私の手首だけは握ったまま放さない。手を放して欲しくて動かしても、男の力に敵うわけもなく絡め取られる。
「放して」
「放したら逃げるだろ。それに、私だけじゃないってどういう意味?」
どういう意味って、それは副島新が一番分かっていることでしょ。二股でしょ。私が何も知らないとでも思っているの?あんなに仲良さそうに歩いていて、大人の雰囲気を漂わし、綺麗な人と誰もが思ってしまうような容貌を持った人が傍に居れば私なんか霞んでしまう。
ううん。既に霞んでる。
言いたい言葉はあるのに、たくさんあるのに、それは言葉にならずに私の心に積もっていく。我慢していた言葉が溢れたら、我慢していた時よりも苦しかった。今から話される事実を私は受け止めることが出来るだろうか?
「何が葵にそんな顔をさせてる?俺はお前に何をした?」
「言葉の通りよ。私と付き合いながら、志摩子さんという人と付き合っているくせに。あんな綺麗な年上の人なら私は敵わない。私がいくら副島新のことを好きでも、副島新が私だけを思ってくれないから苦しいの」
止められなかった。一度、溢れたら止まらない。あんなに我慢したのに全部無駄にしてしまった。もしかしたら、副島新を失うかもしれない恐怖が私を襲う。
「それが葵が具合が悪くなったり、今も苦しそうにしている原因?」
「放して」
「放したら逃げるだろ。それに、私だけじゃないってどういう意味?」
どういう意味って、それは副島新が一番分かっていることでしょ。二股でしょ。私が何も知らないとでも思っているの?あんなに仲良さそうに歩いていて、大人の雰囲気を漂わし、綺麗な人と誰もが思ってしまうような容貌を持った人が傍に居れば私なんか霞んでしまう。
ううん。既に霞んでる。
言いたい言葉はあるのに、たくさんあるのに、それは言葉にならずに私の心に積もっていく。我慢していた言葉が溢れたら、我慢していた時よりも苦しかった。今から話される事実を私は受け止めることが出来るだろうか?
「何が葵にそんな顔をさせてる?俺はお前に何をした?」
「言葉の通りよ。私と付き合いながら、志摩子さんという人と付き合っているくせに。あんな綺麗な年上の人なら私は敵わない。私がいくら副島新のことを好きでも、副島新が私だけを思ってくれないから苦しいの」
止められなかった。一度、溢れたら止まらない。あんなに我慢したのに全部無駄にしてしまった。もしかしたら、副島新を失うかもしれない恐怖が私を襲う。
「それが葵が具合が悪くなったり、今も苦しそうにしている原因?」