幸せそうな顔をみせて【完】
 副島新は私の姿を見つけると軽く手を挙げてから私の方に歩いて来る。仕事が終わって疲れているはずなのにそんな素振りは全く見せないで、私の横の席に座ったのだった。そして、私の目の前には志摩子さんが座った。


 副島新は志摩子さんの横ではなく私の横に座る。


 そして、自分の買ってきたアイスコーヒーを飲みだしたのだった。私も暑かったけど、外を回っていた副島新はもっと暑いだろう。そんな副島新を横に感じながら目の前を見るとそこには優雅に副島新と同じアイスコーヒーを飲んでいる志摩子さんの姿が見えた。


 ただ、アイスコーヒーを飲んでいるだけなのになんでこんなに綺麗なんだろう。


 遠目でしか見たことなかったけどこんな風に真正面から見るとドキドキしてしまうくらいに綺麗な人で、私と副島新をとっても優しそうな瞳で見つめている。


「初めまして。副島志摩子です。新くんの母親ですが、血は繋がってないけど私にとっては大事な副島先生の息子なので、私にとっても実の息子だと思っているの。だから、新くんの大事な葵さんに会えて嬉しいです」


 副島新のいうことは嘘ではなかった。母親というのも間違いではない。でも、副島先生って…もしかしたら副島新のお父さん?副島新は自分のことをそんなに話す人じゃないので何も知らない。知っているのは仕事をしている時の真っ直ぐな姿だけ…。


「初めまして。瀬戸葵です」


 緊張してそれしか言えなかった。でも、そんな私の緊張に志摩子さんは全く気にしてないようだった。


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